「なぜ自分だけがこんな目に合わなければならないんだろう」
「世界で一番不幸なのはきっと自分に違いない」
死別を経験して、こんなことを考えたことはありますか?
私はあります。
というか、あったと思います。
なぜこのような言い方をするのかというと、その当時は、自分がそのような考え方をしていることをそこまで強く認識していなかったからです。
それはつまり、当然のようにそう考えていたということに他ならないのでしょう。
こういったところからもわかるように、当時の私は明らかに自分中心に物事を考えていました。
当時は20代ですから、若気の至りということで許してもらえるのかもしれませんが、それを許すかどうかを決めるのは、よくよく考えると自分自身です。
そうである以上、私はなかなか当時の自分を許すことができません。
なぜなら、大切な人の立場で考えるということがしっかりと出来ていなかったからです。
自分を中心にして考えてしまうと、どうしたって大切な人のことや大切な人の立場で考えることは少なくなります。
また、たとえ大切な人の立場で物事を考えられる瞬間があったとしても、結局はついつい自分の感情や甘えを優先してしまいます。
別になにもかもが悪いと言いたいわけではありません。
ただ、もし二人のうちどちらが不幸であるかを考えた場合、それが自分でないことは明らかであり、にもかかわらず自分を優先するような行動をとったことが、今の私からしてみれば許しがたいというだけです。
もちろん、もしあの時に考え方を変えられたとしても、大切な人のいない世界を生きていかなければいけないという厳しい現実に変わりはありません。
ですから、同じように苦しみながら進むことになった可能性もあるでしょう。
しかし、もしあの時考え方を変えることができていたら、あとになってもう少し胸を張ることができたはずですし、自分をこれほど責める必要もなかったはずです。
そんなこともあり、いつかはやっぱり「ごめんね」と伝えたいものです。
話が少しずれましたね、話を戻しましょう。
さて、では自分を中心に考えた場合、この他にどういうことが考えられるのでしょうか?
これにはいろいろあると思いますが、おそらく、思うようにいかないことだらけになるということは間違いなく言えると思います。
自分を中心に考えることは確かに楽です、ただ、自分の思い通りにならない状況に直面し続けなければいけませんし、そういったことを考えると、トータル的には圧倒的にマイナスが大きい気がします。
たとえば、誰かが死別を経験したことなんて世間はあっという間に忘れていくわけですが、そういったことにも気付かず、自分に優しい言葉がかけられないこと、自分のことを尊重してくれないこと、死別して苦しんでいることをわかってくれないこと…
こういった世間とのギャップにいつまでも傷つかなければなりません。
また、時にはそのことで苛立ちを感じさせられたりもすることでしょう。
これは、頭の中が「俺は世界で最も不幸な死別経験者だぞ、わかってんのか」となっている人間にとってはなんとも厳しい話です。
さらに、このように自分を中心に考えている人間は、そのギャップを埋める責任があるのも他人だと考えてしまいます。
つまり、他人に変化を求めようとします。
これは以前にも書いたとおり、非常にナンセンスですし、なおかつ他人を変えることは非常に難しいことです。
それに、大勢の人間がいるこの世の中で、そんなことがいつまでも通用するはずがありません。
なのに、それでもなお他人が悪いと考えてしまえるのが自己中心的な人間です。
当時の私はたぶんそんな感じの人間でした。
ですから、当時の自分のそういった面は大嫌いですし、本当にイタイと感じています。
もっとも、過ぎたことは仕方ありませんので、次はそこから何かを学ばなければいけません。
というわけで、私が当時の自分に対して何か教えていいとするなら、「世界は君の周りを回っていないよ」と教えてあげたいです。
そうです、世界は誰の周りも回っていません。
みんなの周りをただ回っているだけです。
誰が中心になるわけでもなく、みんなを中心として回っているだけです。
自分を中心に考えることさえやめれば、自分の大切な人のことはもちろんのこと、他の死別経験者のことや、他の死別経験者が亡くされた大切な人のことまできちんと考えられるようになります。
昔の自分がひどかったからこそ、そういった人間に少しでも近づきたい、私はそう思っています。
死別してからだいぶ時間がかかりましたが、こんな気持ちにさせてくれたのは私の大切な人です。
そして、ここまで引っ張ってきてくれたのもやっぱり私の大切な人です。
だから、「ごめんね」のあとには「ありがとう」といつか伝えるつもりです。
最後になりましたが、この流れですので一つだけ書かせてください。
みなさまにとって大切な人のご冥福を心よりお祈りいたします。
※面識もないくせにと不快に感じられた方は、ご容赦ください。
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